昔は足尾の庚申山経由で山中泊しないと登れなかった皇海山。『颯爽と峰頭をもたげ、一気に下の沢まで落ちている姿は思わず脱帽したいほど気品をそなえていた』と百名山に数えられている。筆者は30年ほど前の現役時代、5月の残雪期に山中3泊の行程で足尾から皇海山に登り、日光中禅寺湖に下りた経験がある。
その時の山行については今回も同行した17期山下氏に「これまで山でバテたことが2回あるがその中の1回」と言わしめる山行であった。まさに『皇海山は今なお静寂の中にある』雰囲気が色濃く残り、踏み跡も定かではなく道に迷い山中で逢った登山者は皆無であったと記憶している。
それが今、栗原川林道の開通により日帰り登山が可能な山となった。しかし、今にも崖崩れが起きそうな悪路で名高い林道20kmを1時間の緊張するドライブ、運転手の皆様にはお疲れ様であった。
何年か前、皇太子殿下がこのルートを使って皇海山の登山を楽しまれたそうで、その折、林道や登山口である皇海橋のトイレ、駐車スペースも整備されたそうな。登山道も十分わかりやすく今時は百名山ツアーで登る人も多いらしい。隔世の感、これあり。 |